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用途多彩な二空間開設
鳥取のギャラリー「そら」&スペース「空」
記念展 市美展審査員の40点 角秋勝治
ふと、見上げれば「空」。
鳥取駅前サンロードに、上下二会場を併設した画廊が二日オープンした。
市内の私設画廊では六つ目。半円形の窓が自然光を呼び込む開放的なギャラリー「そら」と、鳥取では珍しい半地下のミスチックなスペース「空(kuu)」である。透明ガラスの正面を足元から頭上へ見上げると、アーケードのすき間からこぼれる空に出会うが、それが希望を託す会場名のヒントになったと、画廊主・安井敏恵さんは語る。
階段がほどよいプロムナードとなって上下のエントランスへ誘う会場は、ともに78.7mmのゆったりした本格的な広さ。「そら」は、三階事務所への階段をアクセン
トにしたオーソドックスなギャラリーだが、ミニコンサートや講演会も可能だろう。
「空」は化粧抜きの天井がメカニックで、実験作のスペースにもふさわしい。
画廊主は武蔵野武術短大の商業デザイン卒だから、今後このディスプレーは
腕の見せ所だ。
開廊記念展は「鳥取論」と題して、鳥取市美展審査員二十一人の作品約四十点が集まった。彫刻は、天平の女神を現代の見立てによってよみがえらせる石谷孝二『樹下美人』や、半透明のロウと光彩を通して実体と移行を表徴する谷口俊『虹色の塔』。日本画は、濃緑の山陰海岸が健康なエネルギーを発する岸本章の『夏泊港』など。
洋画は、キメ細かな筆触で滋味あるすがしい空間の安東尚文『早春の大山』、シンプルなグレーと陰影でストイックな画面からエロスを開示するニシオトミジ『輪廻』、風土に内在する峻厳で聖性なリアリティーを追求する山本惠三『大山』など。工芸は、モダンなデザインと織りの安陪壽恵と、リリカルな藍染めの西尾正道。
写真は、実像や虚像の配列で映像の解体から創造を試みる池本喜巳『遠い日』、海外取材で質朴な民族の日常を見詰めた沖 正『わらべ』、建造物の壁面から色と形を切り取り絵画的造形を抽出する佐々木節枝『tales』。
デザインは、コンピューターグラフィックを駆使した横山味地子のイリュージョン『幻想砂遊戯』が楽しい。
ほかに池成嘉之、寺島節朗、吉田茅穂子、上田敏和、坂尾哲夫、桜井郁枝、中尾廣太郎、川口隆範、池田正晰らが出品。(敬称略)
作品によって現在の多様な動向をはじめ、過去半世紀余にわたる美の航跡もかいま見える。現代美術を戦後間もなく立ち上げたパイオニア、山陰風土に立脚しいまなお自らのリアリティーを探る作家、表現の可能性を求めて現在を先駆けるクリエーター
など、多彩な試作が渦巻いて「いま」があると言えよう。
主婦をしながら美術に関心を持っていた安井さんは「文化的な感動を身近に、感性を刺激して元気の出る鳥取にしたい」との願いから、この「空間」を開設したと言う。
教育現場はスポーツばかりに陽が当たり、文化活動は目を覆うばかりの衰退ぶりだが、それを見るにつけても、次代を担う「若者には特別な便宜を図りたい」との考えだ。創作は本質的にあくまでも「個」に根ざす営為である。
しかし、地域コミュニティーや環境問題が重視され、アートも社会とのかかわりが問われる現在、民間の活力と行政の理解ある支援が得られれば、郷土の作家ももっと実りある仕事ができるはずだ。近年は久しぶりに若手の台頭が目覚しく、無為だった県の文化行政も多角的に改革が進められている。
画廊もそれぞれの特性を発揮して、新しい創造のステージになることを祈念してやまない。
(鳥取ガス文化広報室)9月5日(金)日本海新聞掲載
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安陪 壽恵
安東 尚文
池田 正晰
池成 嘉之
池本 善巳
石谷 孝ニ
上田 敏和
沖 正
川口 隆範
岸本 章
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坂尾 哲夫
桜井 郁枝
佐々木 節枝
谷口 俊
寺島 節朗
中尾 廣太郎
ニシオ トミジ
西尾 正道
山本 惠三
横山 味地子
吉田 茅穂子 |
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